これまで在宅で介入させていただいた患者さんで、認知症に幻視を伴い「おや?レビー小体型認知症についても考慮した方が良いのか?」となったことが幾度もありました。
そこで、レビー小体型認知症(以下DLBとも記す)を疑った際の診断方法や除外すべき疾患について、改めて調べてまとめてみることにしました。
【Clinical Question】
レビー小体型認知症を疑った際の鑑別方法とは?
【私的結論】
診断基準としては、臨床症状のみでprobable/possibleと診断されうる(1*)
進行性の認知障害は中心症状として必須
中核的特徴として認知機能の変動・具体的な幻視・パーキンソニズムを含む
その他に、支持的特徴や画像検査によるバイオマーカーが使用される
(私見)ただし、認知症+幻視というだけで考え無しにDLBを疑うことは危険であり、他の疾患を十分に除外する必要がある
【DLBの診断基準】
・確定診断ではなく、あくまでもprobable/possibleであることがポイントですが、診断基準に含まれる特徴には以下のようなものがあります
(引用:認知症診療ガイドライン2017)
【DLBの除外診断】
私的結論にも記載しましたが、臨床症状だけで診断され得るからといって、症状のみで診断に飛びつく行為は、他の疾患の可能性を無視することになり、危険であると考えられます。
DLBに関わらず、広く認知症ということについて除外すべき診断については下記のようになっています
加齢に伴う正常範囲内の健忘
認知機能障害が軽度の例
薬剤誘発性の認知機能障害
せん妄
うつ病、妄想性障害、てんかん
内科的疾患に伴う認知機能障害
代謝内分泌疾患、感染症、アルコール障害
外科的疾患に伴う認知機能障害
慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍
(引用:認知症診療ガイドライン2017)
内科的疾患に伴う認知機能障害は、そのまません妄の因子にもなっており、その可能性を無視することは非常に危険と言えます
なお、せん妄の診断や原因疾患については、こちら(2*) に詳しくまとめられていました。
【DLBとPDDについて】
PDDとは「Parkinson Disease with Dementia」の略で、認知症を伴うパーキンソン病と言えます
共に「パーキンソニズム+認知症」という観点から同一の臨床上を呈することがあります
両者を明確に区別することは難しく、本質的な差異はないとされています
DLBの基準として下記のものも挙げられますが、ガイドラインでは「研究などで用いられる操作的な基準」とされていました
認知症がパーキンソニズムに先行する、または
認知症の発症がパーキンソニズム発症後1年以内
DLBにおいても、PDDにおいても薬物治療として用いられる薬剤は同様のものが挙げられます(3*)
コリンエステラーゼ阻害薬、抗NMDA受容体拮抗薬
非定型抗精神病薬
抑肝散
【参考文献】
2* 認知症とせん妄(日老医誌 2014;51:422―427)
3* 今日の臨床サポート「パーキンソン病の認知症」
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